コラム|浮気調査 イン クアラルンプール! その2

浮気調査 イン クアラルンプール!その2

前回のバリとは勝手が違う。
ツアーに対象者が参加しているわけでもなく、ホテルの場所は知っているが、本当にそこに宿泊しているのかすらわからない。もしかしたらすでにチェックアウトを済ませ、ホテルには不在かもしれない。ホテルマンにそれを聞くこともできず、着いて早々ひたすらにホテルロビーでの張り込みを開始した。

不毛になるかも。。。
海外まで来てオケラ。できればそれは避けたい。

と思っていた矢先、うれしい事態。
男性対象者はまだホテルにいた。張り込んで1時間ほどしたばかり。
対象者がロビーに現れた。

この仕事をしていて、この瞬間が一番うれしい。
この瞬間があるから探偵業は辞められない。
対象者が出てくる瞬間。ホテルに入る瞬間。相手を特定した瞬間。
至って普通の行動なのだが、この瞬間のためだけに長時間の移動、張り込み、尾行をしている。
これに関しては言葉では言い表せない。
見た瞬間アドレナリンが止まらなくなる。
自身の瞳孔が開くのがわかるくらい。ある意味麻薬のようなもの。
普通に生活していたらこの感覚は味わえません。
探偵業の福利厚生の一つではないでしょうか。

A.M11:25 対象者、ホテルを出る。

...出来ればタクシーには乗ってほしくない。これは本当の願い。
日本でもタクシーに乗られるとすべてはこちらが拾ったタクシーの運ちゃん次第。
ぼけぼけのタクシー運転手だとこちらの意図を酌んでくれず、失尾してしまうことも。
それが今回はマレーシア。
マレーシアのタクシー運転手は情熱的なのだろうか、それとも役立たずなのだろうか...。

そもそもなんと伝えればいいんだろ。

Please chase the previous car.でOKですか??
Chase the previous car!!ですかね???

とそんな不安とは関係なく、対象者は徒歩移動。
どうやら近場で待ち合わせのようだ。

徒歩15分ほど。都心部とは少し離れた住宅街。
マレーシアの首都と言えど少し離れれば昭和の日本的な家が立ち並ぶ住宅地がある。

マレーシア

ただこんなところ普通の観光客が来るような場所ではないのは確か。
うちら含め日本人はいない。
香ばしい街並みを通り過ぎ、とあるコンドミディアムへ。

どうやらここが相手のヤサのようだ。
わざわざ海外まで対象者を呼ぶような浮気女の面をぜひ拝みたい!
出を待つために外張り(=外で張り込むこと)をするしかない。
しかし現在地はマレーシアの住宅街。
食事時ということで人の出入りは少ない。
現地の人は「マレーシア的な笑っていいとも」を見ながら食事をしているのだろう。
うちらは日本人ということで明らかに、


場違い。

そんな中で張り込みポイントの選定。
出入り口は一つ。ただ張り込みポイントはタイト。
恐らく出入り口付近での張り込みを行えば確実に怪しまれる。
しかし出の絵(出入りの写真)は撮りたいところ。

そのため以下のような張り込みをすることになる。

対象者宅に面した通りを両サイドで張り込みを行う。それと同時に出の絵を撮れるよう無線カメラを付近に配置。この形であれば長時間の張り込みも対応可能。海外出張なのでできる限りの機材を持ちこんで正解だった。やはりこんな時に役立つのが無線カメラ。その名の通り無線で映像を飛ばし、レコーダーに録画。バッテリーの容量にもよるが長時間の待機・撮影が可能。張り込みが困難な場所で且つ機材の設置が問題なく行える場所で使用する。少し前に京都のとある興信所が対象者のマンションの出入りを無断で撮影したとして相手側よりプライバシー侵害の慰謝料請求をする裁判がありました。その裁判結果は相手側の勝訴。興信所は相手に対して50万円の慰謝料を渡したそうです。浮気調査の場合、不貞の証拠収集のために撮影は必須になります。それをプライバシー侵害とされ、慰謝料請求されたら商売あがったりです。ただこれは方法に問題があったようです。この件の対象者は依頼者(=妻)より依頼を受け、夫の浮気調査の依頼を受けました。そのため相手というのは第二対象者であり、本当にこの人物が相手かどうかというのがわからなかった状態です。結果的に同人物がそうだったわけですが、そのわからない中で第二対象者である人物の家付近に監視カメラを設置。そのまま2日間撮影をしていたということです。つまり浮気の現場だけでなく、その他プライベートなことも撮影されたということで、プライバシーの侵害に当たるということになったようです。探偵業においてプライバシーの侵害とは切っても切れない関係です。このような調査は基本的にどの業者も行われていることです。もちろんプライバシーの侵害が直接罪になることは少なく、このように民事の部分での争いとなるわけですが、今回このように判例が出たことにより、方針というのも変えていかなければならないでしょう。カメラを設置し撮影する方法に関しては問題ありません。ただそれをどのようにして運用するかです。例えば短時間であれば問題なく、また対象者と第二対象者がいる状況での撮影のため今回の場合はプライバシーの侵害には当たる可能性が低い。そのためカメラを設置。

5分後。。。

A.M12:07 対象者と相手と思われる女性が出てくる。

...あれだけ考え、力説したのに...。
まぁ場違いなところで長時間張り込みを続けるよりは動いてくれた方がいい。
また動きがなければ不貞の証拠も撮りづらい。何も問題ない。むしろ歓迎。

また相手の面が見れる。現地妻ってどんなんだろう??
やっぱりアジアンビューティーなのかしら。
と思っていたら、想定外の出来事が!!

つづく。

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