コラム|素晴らしき無駄な知識。探偵の部屋探し。

素晴らしき無駄な知識。
探偵の部屋探し。

イタリア南部のナポリで体調が7センチにもなるというゴキブリが大量に発生したそうです。先日、私も街中で"黒い悪魔"を目撃してしまいました。もうそんな季節なんですね...。ゴキブリって家で出るイメージがありますが、結構その辺をカサカサッと走り回っているのです。

都内でいえばアルタ前。
ゴキブリは基本暗所にいるため植木の隙間を覗くとかなりの数います。
もう一つ有名なところは渋谷のハチ公界隈。渋谷には元々渋谷川という川が流れていましたが、交通の事情から暗渠(あんきょ)となり、現在は地下に川が流れています。そんなところがあるからか、渋谷界隈ではゴキブリやネズミが多いのだとか。調査対象者が渋谷駅のハチ公前で待ち合わせをし、花壇に腰をかけている様子をよく見ますが、その事実を知っている私はそんなことができません...。

かといって外だけではないゴキブリ。
私は今年の初めに引っ越したのですが、以前の住まいにはゴキブリやいろいろと見たことのない"虫"がいました。
ベランダにネズミの死骸やらカラスの死骸等々...。繁華街の近くに住んでいたため便利ではありましたが、繁華街の近くに住んでいたため色々な事件が起きていたことも事実です。隣の人が連れ去らわれ...以下自粛。
まぁ今考えるとよくあんなところに住んでいたな...と思ってしまいます。

そのようなところだったため今の住まいが快適すぎます。吟味してやっと引っ越したということもあるので。ただ吟味したのは"虫の出ない部屋さがし"ではありません。
探偵目線の部屋探しをここではご紹介しましょう。

探偵業の基本的調査、張り込み。恐らく業務の大半がこの仕事となります。張り込み場所はその人物のいる場所で、対象者の勤務先やら自宅など、場所は様々。場所が変われば張り込みの仕方っていうのも変わるのです。基本的に自宅か勤務先のどちらかです。

自宅開始の場合、張り込み先は住宅街ですが、閑静な住宅街かそれとも繁華街に近い住宅街なのかにより方針も変わります。やはり注意して張り込みをする必要が高いのは閑静な住宅街です。またその中で最も注意すべきなのは昔からある住宅街。

住宅街といっても分譲住宅で付近の人とあまり交流がない場所であれば、見知らぬ人がそこにいても目立つことはありませんが、住民に交流があり、見知らぬ人がいるのがおかしいような場所では張り込みはさらに難しくなります。その場合車両を用意するなどして身を隠すわけですが、それでも長時間の張り込みは付近を警戒させることに繋がります。対象者に気付かれなくても周りの人間に知られてしまえば警察に通報されたりすることもあるでしょう。そうなってしまうと余計に張り込みが難しくなります。そのために現場状況を考え押し引きをする必要があるのです。

さてさて、本日お伝えしたいのは張り込みに適した家、不適切な家のお話をしようと思います。
探偵も家借りて住んでるわけですが、無駄な能力があるせいか、部屋選びも一般とはかけ離れています。何も悪いことをしていませんが、職業柄張り込みがしづらい家を探しがちです。探偵の部屋を決める基準をここで公開します。

広くて風呂トイレ別、オートロックで駅が近い。近くにコンビニがある...。なんてのが理想ですが、それ以外にも探偵にとって"イタイ"ポイントを紹介します。

1、オートロックで内廊下
問答無用です。オートロック、内廊下ほど最強装備はありません。中がどうなっているか、また部屋番号がわかっていてもどこが該当するか分かりません。ベランダが見える立地でも部屋が分らなければ情報があやふやになってしまう。オートロック、内廊下という時点でため息が出てしまいます。情報が得れないという状況になるため、そんな中で張り込みをしなければなりません。

2、電気メーターが見えない
在宅確認は様々な手法で行われますが、その一つに電気メーターがあります。探偵業の基本的な調査方法。メーターの速度で在宅しているか不在かを判断します。メーターの速度が遅い場合、不在か寝ているか、回転が速い場合在宅と判断ができます。また冬の時期、夏の暑い時期には室外機の動きでも判断できます。ただセキュリティの高いところでは見えないようにしているところがあります。電気メーターが見えないと判断ができません。

3、出入り口が複数ある
マンションなどの中で張り込みをすれば住居侵入となります。そのため外で張り込むことになるわけですが、出入り口が複数あればその出入口分張り込み箇所を分けなければなりません。表からも裏からも出れる建物で且つ同じ道に出ない。こんな場所を張り込む場合出入り口の数に合わせて調査員を用意しなければなりません。分れて張り込みをするため手薄になる場合もあるでしょう。最近できた建物はセキュリティの都合上出入り口を一つにしているところが多いですが、二階からも一階からも出れる、駅直結型なんてところはかなり厄介な建物です。

4、窓が見えない
窓はその人物の生活が見えます。灯りの有無、カーテンの開閉、このように些細な情報から在宅不在の判断をすることもあります。ただ高層階でベランダに目隠しがあるところは窓の様子が見えないなんてところも。部屋番号が特定できていれば窓の様子で判断できますが、窓も見えないとなると情報が無い中で張り込みを続けなければなりません。

ほかにもありますが、このように外界に情報を遮断することで張り込みを難しくすることが可能です。

理想はオートロックで管理人が常駐、出入り口が複数あるところでしょう。張り込む者にとってみれば些細な情報をもとに調査を継続するかどうかを判断します。在宅か不在かがわかるだけでも精神的な負担というのは変わってくるでしょう。

南向きより調査不向きの家さがし。風呂トイレ別もいいですけど、張り込みのしづらい家さがしっていうのもいいかもしれません。

ちなみに今回の引っ越しでウチはオートロックとなりました。
ゴキブリもいまのところは...。

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