コラム|国民生活センターに見る探偵とのトラブル

国民生活センターに見る探偵とのトラブル

探偵業と聞いて何を思い出すか。
やはり「探偵物語」のイメージ「シャーロックホームズ」のイメージがでるが、実際はそんなきらびやかな舞台に立てるものでは無い。前のコラムでも紹介した通り、出来ては潰れの繰り返しだ。各社様々なサービスを提供し、泥水をすする思いで頑張っているところがほとんどだが、そんな辛く暗い業種だから怪しい会社も複数存在する。

探偵業は人の闇の部分を補うためのサービス業だ。
浮気調査に関しても「うちの主人が浮気をしている」なんて声を大きくしては言えない内容。

あんたの甲斐性がないだけでは?なんて突っ込む人もいるだろう。

そんな経緯があるため人には話せない。かといって解決するためには誰かのサポートが必要。ってことで頼むわけだ。しかし業者に話すにしても相手は機械でもなければロボットでもない。ただの人間。そのため依頼する側にとってみれば一抹の不安がよぎる。

「ばらされないか?」

秘密にしたい内容だけにそのような不安がある。依頼する人はこの部分で首を絞められる。

・文句を言いたいが逆上されて依頼したことを言われたらどうしよう。

こんな風に思ってしまっていたらあとは業者の言いなりにしかなれない。
怪しい業者はこの部分に付け込んでくるだろう。
やらずぼったくり業者も依頼人が何もしないからエスカレートする。
よくぼったくり風俗店などである手口と一緒。

客引き「お兄さん。うちは最後までですよ」なんて言っていて実際は本番行為はない。
本番はそもそも犯罪行為になるため、入った客は文句が言えない。つまり泣き寝入りということだ。

この世界も同じようなトラブルが目立つ。
支払ったはよいが連絡が取れなくなる。
のらりくらりと時間が経過し結果が出ないなんて言う話もよく聞く。
キャンセルをするにも一切返金なしなんてことも。

そんなトラブルが多い業種のため国民生活センターへの相談も多いらしい。

法律施行後減少傾向にあった相談件数が最近ではまた増えてきている。
この理由は探偵業法という法律が抜けが多いのと、施行して時間が経ったため麻痺しはじめている証拠だ。

最近の相談事例をみると、いまだにこんなトラブルがあるのかと目を疑うものがある。
私なりに解決方法を書いてみた。

・パソコンに貼り付いたアダルトサイトの請求画面を消したいと興信所に相談したら解決できると言われた。
 公的機関と関連した事務所だと思い頼んだが、無関係ならばやめたい。
⇒まず頼むところが間違っているでしょう。餅は餅屋という言葉があるとおりパソコンに関してパソコン屋に頼むほうが良いでしょう。公的機関と関連したところなんてのはそもそも存在しないため相談する事前の問題です。

・インターネットで見た興信所の無料相談窓口に未公開株の被害金の取り戻しについて問い合わせたら、30万円が必要と言われ、不審に思った。この業者は信用できるか。
⇒この業者が信用できるかという以前に弁護士の免許等を持っていない興信所が回収業務を行うことは厳密にいえば違法行為となります。頼むのであれば行政書士か弁護士に頼むものです。くれぐれも興信所にこのような相談はしないように注意すべきです。

・インターネットで見つけた調査会社に知人を捜してもらう依頼をしたが、自分でも捜せそうな気がしてきた。
 解約したいが、着手前なのに解約料が高い。支払わなければならないか。
⇒契約書がどのような形で結ばれているかにもよりますが、解約料が常識を逸脱しているのであれば支払う必要はないですね。ただホテルの予約などと同じように最低限解約料はかかってくるかもしれません。この辺りは契約前に注意しておくべきでしょう。

・社債の購入を勧誘され、代金を振り込んでしまった。
 インターネットで見つけた詐欺被害を回復するという業者は信用できるか。
⇒興信所の中には金銭回収を謳うところもあるようですが、回収業務は基本できないものと考えてください。違法に行っているところもあるようですが、そもそもが違法行為をしているため信用できるとは言えないでしょう。

・夫の浮気の調査を頼んだが、最初に提案した方法では難しいと後から言われ、別の方法に変更になった。納得できない。
⇒提案された内容が履行されないのであれば、契約を破棄することができるのではないでしょうか。たしかに状況によって提案した内容ができないケースがあります。ただこのような場合は話し合い取り決めるものです。話し合いの結果、双方合意が得られなければその時点で解約すべきです。中にはパック料金という形で請け負っているため返金はできないなどとぬかす業者もいるようですが、そもそも予定されたことができていないため契約が成り立っていません。

・携帯電話で突然アダルトサイトに登録されたので、インターネットで見つけた探偵に相談し、解決を依頼した。きちんと解決してくれるか不安だ。
⇒相談する場所を間違っています。興信所はなんでも屋ではありません。そのようなことは便利屋に相談しましょう。

・母が父の身辺調査を依頼し、100万円支払った。
 事前に費用が必要なのか、怪しいところではないのかと心配である。
⇒ほとんどの業者が前払いです。内容によっては100万円以上かかるケースもあるだろう。この部分に関しては問題ないが怪しいかどうかは自分自身で調べるべき。国民生活センターは怪しいかどうかを教えてくれる機関ではない。そのため契約する前にどのような業者なのかを知っておく必要があるだろう。怪しいと思うのであれば、頼まないほうが賢明だろう。

・ネットで知り合った私立探偵を名乗る人物に、夫の浮気調査を頼み代金を支払ったが連絡が付かなくなった。
 どうしたらよいか。
⇒探偵業を行うためには届出が必要で、業者が依請け負うためには依頼人に対し重要事項説明書を交付しなければなりません。ちゃんとした契約手続きを取っているのであれば警察に相談すべきでしょう。

・競馬情報会社に騙され、「被害金を取り戻す」とあった探偵事務所に相談したが、調査のみで被害金は取り戻されなかった。返金してほしい。
⇒返金してほしいという以前に相談するところが間違っています。

・過去に被害にあったパチンコ攻略法の被害額を取り戻すために、探偵に概要を聞いた。
 契約を検討しているが、信用できるか。
⇒契約を検討する、信用できるかという以前の話です。

相談する方は藁をもつかむ思いでいる方が多く、そもそも興信所に相談すべきかどうかの判断がついていない。
費用のかかる問題だから冷静になって考えてほしい。冷静になれば「被害金を取り戻す」のは探偵ではなく弁護士に相談すべきとわかるだろう。身元が分からないため調査が必要なケースもあり、それで探偵に依頼するのであればわからなくもないが、回収業務を頼むこと自体が間違っているのだと思う。

届出をすればだれでも簡単になれる探偵。そのため、悪徳業者も多いのが現状です。
悪徳業者に騙されれば二次被害になることもあるだろう。
実際に国民生活センターに苦情がきているのは、金銭回収目的の方からの苦情ばかりです。
被害を受け、それを回収しようと更なる被害を受ける。言葉巧みに相談者を騙すところもあるのです。
くれぐれも、安易な気持ちで探偵社の門を叩かない方がいいかもしれません。

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