復縁では厳禁!暴走は百害あって一利なし
ある夜の店での会話。
オレが、仕事の潜入工作で行って以来、ゴルフにハマってるという話で盛りあがってたところへ、別の客がトイレから戻ってきてこんなボケをかましてくれた。
「…でですね、最近、練習場に行くと"寄せ"の練習ばっかりしてるんですよ」
トイレから戻ってきた客「え、落語もやるんですか?そういう練習場まであるんだあ。知らなかったなあ」
その人を除いた一同、しばしの沈黙を経て大爆笑。
"寄席"じゃなくて"寄せ"。
アプローチ・ショットのことだよ、お客さん!だいたい、"寄席"の練習場って何だよ(笑)。
まったく、アンサーという店は楽しいところである。
いろいろな客が連日連夜、やって来る。
もちろん、酒を楽しんであんなボケをかます常連客から、相談目的の悩める方まで様々なのだ。
「なるほどねえ。ところで、聞きたいことがあるんですけど…」
相談客の場合、一杯、飲んだところで、こんな切り出し方がフツーのアプローチ(これはゴルフじゃないよ…)。
ここからが本番(?)。
ウチの真骨頂、お悩み相談タイムのはじまりである!
「何か悩み事があるようでしたら、おっしゃってください!」
とは言ったものの、ここから飛び出してくる話は、それこそ他愛のないケンカの話から、調査や別れさせ・復縁希望の相談などまでいろいろ。
実際、聞く方も大変なのである。
しかしながら、それが探偵BARたる所以。
豊富なノウハウと、人生経験のすべてを駆使してプロの意見っつーヤツを述べるワケなんだなあ。
ところが、あまりにもフクザツな内容だった場合は、カウンターを挟んでというワケにはいかない。
そこで、アンサー自慢(?)の個室にてガチンコ面談となるんだなあ、フムフム。
「半年前に別れた彼氏と復縁したいんです。今、どうしているかは知らないんですけど、たぶん彼女はいないと思うんですが…」
わからないんだよね。これが。
オレの経験では、こうしたケースの場合、十中八九、すでに相手が居るのだ!
実際、現在の彼を調べてみると、ビンゴだったりする。
「ええー、信じられない!だったら、別れさせてください!」
こうして、どんどん話がフクザツになっていく。
しかし、プロは動じない。あくまで冷静に、予想されうる最悪のケースを想定してことに当たっているからだ!
綿密に作戦を立て、遂行していく。
しかしながら、最終的には依頼人も工作に絡んでくる。
当然、依頼人の"芝居"が必要なケースも出てくるのだ。
工作によって、久しぶりに対象者から連絡があったとしても、シナリオどおりに進めてもらわなければならない。
要は、探偵任せで成立するものではないということが言いたいのである。
まさに、二人三脚の呼吸が必要になってくるんだなあ。
ところが、である。
得てして対象者から依頼人に連絡があったときなど、ついつい舞い上がってしまうものらしい。
いわゆる暴走をしてしまうのである。
まだ早いって注意しているのに勝手に話を進めてしまったり、話が合わなくなってきちゃうのに、こちらに連絡もせず相手とやり取りしちゃったり…。
気持ちはわかるけど、そりゃないぜ、セニョリータなワケなのだ。
店は開いてるんだからさ。
暴走しそうって思ったら、いつでも来て欲しいんだよね。
そして、冷静で居られそうになかったら、まず、相談して欲しいんだなあ。
二人三脚なんだし。豪快にコケる前にね…。
プロだって愚痴るときくらいある。
うまく運んでいた工作がぶっ壊れたときなどは、ことさら余計に。
暴走は百害あって一利なし。
悩みを抱えたときには、くれぐれも注意して欲しいものである。
え、そんなオマエは暴走したことがないのかって?
ありますよ。それも毎晩。オレを暴走させるもの。
それは、ズバリ、ア・ル・コール♪
『コイツを殺すにゃ刃物はいらぬ。美味い酒があればそれでいい』。
豪快な"走り"をご希望であれば、遠慮なくご馳走してくださいませ!