浮気調査はパチンコ店で
張り込みを怪しまれないために、パチンコを打つ羽目になったオレ。いきなりやって当たるはずもなく、10分/1,000円ペースで金が消えていく状況に!
対象者は、出てくる気配なし。打たなければ。打ち続けなければ…。
500円硬貨は、5枚目。玉はみるみるなくなっていく。
パチンコ店の大音量にかき消されてしまうため、片手に携帯電話を持ちながら画面を見る。
そうだよ、集中できないから出ないんだよ。誰もそんな言い訳など聞いてくれやしない。
無常にも金はなくなっていく一方。後輩からの連絡はこない。
と、そのとき、リ~チ! っつーか、遅いよ。
いくら突っ込ませようってんだ! あ、あ、何だよ~。ハズレ。
上げて落としやがって…。ホント、パチンコは嫌いだよ。
だいたい、機械に操られてるだけで、100%運否天賦。
いい台に座るかどうかだけが、運命を分けるなんて、大人の遊びじゃないっつーの。
イルカとかタコとか可愛いキャラクター使って騙そうったって、そうはいか…、リーチ!
おいおい、やけにいい感じで入るじゃないの!
お、お、泡も出てきましたよ。よ、よ、サンゴ礁まで登場じゃないっすか。
コレ、いわゆるスーパー・リーチってやつ? でしょ? コレ。
チョー、チョー、チョーいい感じ!(古)。
・・・・・・・・・こんだけ引っ張ってハズレかよ!!!
大人をからかいやがって。ああ、玉がなくなっていく。また500円入れなきゃ。
いったい、いくらつぎ込めばいいのよ。早く出てこいよ、対象者。
当たりも出てこい!
カァ~、イヤだね、田舎のパチンコ屋は。愛がないよ、愛が。
わざわざ遠くから来てるんだから、少しくらいは出したって罰は当た…、あ、あ、当たったぁ~!!!
ああ、しかも確変じゃん!っていうことは連チャンじゃん!
チョー、チョー、チョーいい感じじゃん!(鬼古)。
おいおい、オヤジさんよお、そんなイヤそうな目して箱持ってくることないじゃん。
やさしくしてよ。遠くから来てんだからさ。と、そのとき、手の中で携帯がブルブル。
『大丈夫ですか? こちら、依然、動きなしです』
後輩からだった。
『何とか凌いでます。状況が変わったら教えてください』 と返しておく。
つーか、絶好調だっつーの!
おいおい、もう止まんないかって思うような爆裂だよ、来たぁ~、リーチ、アゲイン!
でもって、当ったりぃ~!!! 何連チャン目だっけ? もう7箱は積んでるっちゅーの!
いやあ、パチンコはコレだから止められないよ。
いいね、大人の遊びだよ。立派な利殖だよ。お、また携帯が鳴ってるよ。
おいおい、どーしたのよ、後輩。ホントは打ちたかったんじゃないの?
「ハイ、もしもしぃ~♪」
「出てきましたよ!今、車のカバーをはずしてるとこです。すぐに乗って行きそうですよ! こっちに戻ってください!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)」
換金しているヒマは? ないよね。タラッタッタッタッタァ~ラタァ~♪
大当たりのメロディーがブルースに聞こえるよ…。
こうして、大量の玉を残してパチンコ店を飛び出したオレであった。
追跡車両の中で、後輩がうれしそうに言った。
「さすが、燃えてますね。調査してるときが、一番、いい顔してますよ!」
そう。確かにオレは燃えていた!
「コイツの尻尾は、死んでも掴んでやる! ゼッタイ、許さん!!!」(怒)
「許さん??? 何かあったんですか...?」