広島で復縁工作をしたときのお話

不快指数100% 広島の夜

探偵なんていう商売を長いことやっているおかげで、日本の都道府県は、ほぼ制覇してしまった。ちょっとマイナーと思える県にも足を踏み入れてる。オレの場合、行ってない県は2県のみ。まるでビンゴの縦横リーチって感じ。早く、その県の依頼が入らないかなぁ・・・。

余談はともかく、あちこちに行ってるせいか、しゃべれなくても、大抵の方言は理解できるようになった。まあ、同じ日本語なんだから当たり前といえばそれまでなのだが、理解不能なケースも・・・。

それは、復縁の案件で訪れた広島でのこと。

対象が駅からタクシーを拾おうとしたので、すかさず後ろに並びタクシー待ち。対象が乗ったタクシーの次にやってきたタクシーの後ろに飛び乗ったオレは、車内に漂うタダならない雰囲気を感じつつも、前のタクシーを追ってくれと言った。

後ろを振り向いたドライバーさんはネイティヴ・アフリカン並にこんがりと焼けており、鋭い眼光を放つ初老の男性だった。プロ野球チーム・広島東洋カープに在籍していた"鉄人"こと、アノ衣笠幸男にそっくり。そういえば、広島駅の駅員も衣笠に似てたし、もしかして、広島ってとこは、衣笠顔が主流なのかと思えるほど、衣笠があちこちに居るなぁ・・・。

またまた余談はともかく、オレは、このタクシーの異様な雰囲気が運転席から放たれていることに気づいた。チラっと見えたハンドルは、やけに毛羽立った装飾が施されていたのだが、良く見ると、しめ縄がびっしりと巻きつけられていたのだった!そりゃあ、素手でも滑ることないと思うめど、
しめ縄って・・・。ふと見上げたバックミラーには、リアルサメの歯を束ねたネックレス的なものが・・・。
そのほか、タクシーの車内には、あちこちに海グッズが点在しており、そこはまるで
年季の入った釣り船のようだった。

そして、何より驚いたのは、ドライバーの方言だった!

オレが前のタクシーを追うように言うと、

「お客さん、≒β§●▲■×Ω?」

と返答してきた。まったく意味不明・・・。とりあえず、追ってくれてるみたなので、調子を合わせて笑ってたんだが、こちらの無言をよそにやたらと話しかけてくる。

「≒β§●▲■×Ω? $%&▽□☆? ハハハハ!」

何がおかしかったのか、さっぱりわからなかったが、こちらも合わせてフフフフフ。
広島の方言に、こんなにキョーレツだったか???ほとんど、沖縄のメンソーレ並。
きっと瀬戸内海にポツンと浮かぶ無人島レベルの孤島出身に違いない。。。

仕事はキッチリしており、しめ縄ハンドルをさばく手際は見事と言うほかはない。
もちろん、対象が乗ったタクシーもつけ切ってくれた。
さりげなく通り過ぎて角を曲がったところで停車するなんていう小技もバッチリ。

つまり、何を言っているかわからないことを除けば、非常に優れた"探偵"だったのだが、オレの心は不快指数100%・・・。
あまりのショックに探偵としたことが、ナンバー確認も忘れてしまった。。。

仕事を終えて走り去っていく"衣笠タクシー"を見送りつつ、いつの日か調査してやる!と心に刻んだ広島の夜だった・・・。


大阪ナニワのブルース

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