コラム|探偵、海へ行く!

探偵、海へ行く!

いきなりですが、

  アナタは海派、それとも山派ですか?

ちなみに、

 土谷は住宅街派です。(それって、そう、ただの『張り込み』です…)

気温の上昇とともに、行楽シーズン真っ盛りとなってきましたネ。

海で開放的に遊ぶもよし、
山で自然とふれあい、癒されるもよし。
街中で張り込むもよし。(ウソです)

ターゲットの動きも活発化するこの時期。どこへ行くのか、予測するのが難しくなるのです。

そして思いもよらないくらい、遠くまで行くこともあります。

あの時もそうでした。そう、あれは、よく晴れた暑い日のことでした(遠い目…)

軽装で現れたターゲット(男性)は、都内にある自宅から電車で移動。車内では携帯をときおり眺めている。

  これは待ち合わせ臭がプンプンしますぜ、兄貴!

早くもコーフン気味のチェリーこと沖田。

そしてターゲットとそれを追う二人はJRの品川駅に到着。

下車したターゲットの男性は、駅構内のお店で腹ごしらえをしておりました。

だいぶ予定より早く家を出たんだな、これは。
おそらく奥さんには「仕事なのだ。休日出勤な~のだ。」とでも言って出てきたのでしょう。
で仕事と言った手前、早く出ざるをえなかった…。
うーん、我ながらいい推理 ^o^;

そんなことをチェリーと話しながら、ターゲットは、と・・・、
スポーツ新聞読みながら、コーヒーブレイクしております。

  こりゃ、まだまだかかりそうですぜぃ、兄貴。

またまたコーフン気味のチェリー探偵。

そして1時間が過ぎたところで

 ♪チャー、チャチャー、チャチャー、チャーチャー

彼の携帯が鳴りました。
(なぜかアントニオ猪木の入場テーマ「炎のファイター」)

  おぉ、来たなっ! オンナからのコールが!!

なんだか、「燃える闘魂」ならぬ、燃えろ探偵魂で、こっちも燃えてきます。

携帯を耳にあてながら店を出て、あたりを見回す彼。
土谷も頭の中で、(猪木っ!ボンバイェ! イノキッ!ボンバイェ!)
と叫びながら、彼を追尾します。

すると彼に向かって小さく手を振る女性の姿が。
ココロの中で、(イチ、ニッ、サン、ダァー!)と叫び、合流する二人を確認しました。

二人は仲良く寄り添い、どこに行くかと思いきや、京急へと向かいました。

これを見た土谷。
イヤーな予感が・・・。

ふと横を見ると、どこいっちゃうんだろー、と不安に詰まった表情したチェリーがいました。
三崎口行きの列車に乗り込んだ二人に続き、不安げな顔をした我々も乗り込みました。

  行く先のわからないミステリートレインの出発です。

京急にはあまりなじみのない土谷とチェリー。ターゲットの二人をチラ見しながら、見慣れぬ車景にプチ興奮気味。

そして時間がたつにつれ、あたりは山深くなり、ほんとにこの人たちはどこに行くのか、どんどん不安が増してきます。
しかし車内の二人は、楽しげに会話が弾んでいる様子。

この道をゆけば、どうなるものか?
危ぶむなかれ、危ぶめばそこに道はなし。
踏み出せばその一歩が道となる。
迷わずゆけよ、ゆけばわかるさ!

            by 猪木語録

そんな言葉が頭に浮かんでいた土谷がフト顔を上げると、

 「YRP野比」という駅名が、目に飛び込んできました。

  YRP?

  野比?

なんだろう、なんでだろう?駅の名前に横文字が入っているのです。

ヤマハのバイクショップの"YSP"とは違うはずだし、野比ってドラえもんに出てくる、のび太くんの苗字だし・・・。

  うわっ、京急って、不思議!

そんなナゾな駅名に仰天しながら、さらに列車は突き進む。

※ちなみにYRPとは「横須賀リサーチパーク」の略称で、横須賀市光の丘にある、電波・通信技術の研究開発都市のことだそうです。

車内にはターゲット二人以外に、家族連れとカップルが数組。そして土谷とチェリーが離れて座っています。

もうすぐ終点だよっ、と思っているうちに、本当に終点の三崎口に到着。ターゲットを含めた乗客はぞろぞろと降車し、最後に土谷とチェリーも下りました。

降りて思ったのが、

  駅、小さっ!
(京急さん、ごめんなさい)

二人は照りつける日差しの中、油壺行きのバスに乗車。家族連れも乗り込んできて、探偵二人をカモフラージュしてくれます。

気づけば、ここはもう三浦半島の先の方なんですね。

  海ですか、ひょっとして海に行っちゃいますかー。

なんか俄然、テンションが上がってきた探偵二人。でも着いた先は、水族館。

  まあ、いいけどね。
もうそこは海だし。

潮風の匂いが鼻腔をくすぐります。

チェリーに撮影狙いの継続追尾をしてもらい、土谷は出口を固めます。

ひたすら待つ土谷のもとに、チェリーから続々とメール連絡が入ります。

「現在、二人はきれいな熱帯魚を見てます。(ボクも^^;)」

「現在、二人はアシカショーを見てます。(ボクも^^;)」

「現在、二人はイルカショーを見てます。(ボクも^^;)」

「現在、二人は海洋深層水レストランなるものに入店し、鮪づけ丼を食べてます。(ボクも^^;)」

最後の(ボクも^^;)は入らねぇーヨ、と思いながら、容赦ない日差しを浴び続ける探偵土谷。
そして、早く出て来い、と思いながら、周辺の地理の勉強にいそしむ土谷。

そろそろ出てきます、というチェリーの連絡を受け、滝のように流れる汗をぬぐいながら、カメラを構えます。

  シャー! こい、このヤロゥ!

気合いを入れなおし、自然とアゴがシャクレた土谷は、出てきた二人の正面顔ツーショットをバッチリ撮影しました。
水族館を出た二人は、城ヶ島を回る遊覧船へと移動。

  おぉ、海ですよ、SEAですよ!

  ビバ、太平洋!!

カメラをモロに回していても、なんの問題もなく、揺れる船上で撮り放題。
壮大な景観を堪能させてもらいながら、それをバックに、まるで記念写真のようにターゲット二人が写っています。

  いい報告書が書けそうだ・・・。

そんなことを考えながら、夕暮れ模様のヨットハーバーを散歩する二人を追う探偵。

  絵になるなぁ、オレたちが(汗)

仕事なのだ、と言っていたせいなのか、思ったよりも早く都内に戻ってきた二人。
品川駅で別れた男女を、こちらも分かれて追尾し、女性の自宅を確認&男性の帰宅を確認し、無事に調査終了。

熱中症だか、日射病だかで気持ち悪くなったのは、調査解除した途端でした。
やっとの思いで事務所に戻り、スリーカウントをコールされた選手のように大の字になる土谷。

ほっとして気が抜けてしまったせいなのか、考えたくないが年齢のせいなのか。

若いチェリーの元気な姿を見て、ぼっーとした頭に浮かんだ言葉は、

  元気ですかぁー?
元気があれば、なんでも出来る!

と、またまた猪木語録。

しかし、

  元気があっても、なんでも出来るワケじゃないなー、

と、天井を見上げながら、そんなことを思いしらされた土谷なのでした。

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