コラム|熱闘探偵VS下町ブラザーズ

熱闘探偵VS下町ブラザーズ

いやー、猛暑です。
何度も聞かされ、聞き飽きた感じがしますが、猛暑です。

体温以上に気温が上がっているという、猛暑です。
猛暑とはいうが、猛寒とはいわない、猛暑です。
(冬は厳寒ですね。)
日本語っていまさらながらですが、よくできてますよネ。

意味不明の前フリから入りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

「元気ハツラツ?」と聞かれたヨン様の「オフコース!」って返事が意外と野太いことに驚きを隠せない、意識朦朧@土谷です。

ところで、都会には近所付き合いがなく、ドライな人間関係しかないと嘆かれている昨今ですが、どっこい下町には息づいていることを身をもって体験してきました。

場所は都内23区の端っこ。少しさびれた商店街と新興の住宅地が混じる一画。
ターゲットの住む、このあたりでは珍しい高層マンションでの張込みでした。表はバス通りになっており、ひっきりなしに車両が通過して行きます。

前述の猛暑の中、排気ガスにまみれ、なんの変哲もない歩道にたたずむ探偵。

  うっ、いづらい。
むちゃくちゃ居づらい…。

しかもちょうど当日はゴミの日。そして期待通りの燃えるゴミの日。辺りには生ゴミのニオイがうず巻いております。

人待ち、車での迎え待ちを装いながら、はたして何時間入れるのか…。
そんな不安は当初からありました。しかし張らねばならぬホトトギス、もとい、探偵、なのです。

早朝6時より開始して、50分。
ここまでは順調でした。

  そう、パン屋さんが開くまでは。

片道1車線づつの通りを挟んで向かいのパン屋さん。ちょうど土谷の向かいにあたります。
シャッターを開け、店の前を掃除するオバサン。ちらちらこちらを見ています。
土谷は腕時計に目をやりながら、あくまでも待ち人のてい。

やがてパン屋オープン!
そしてさらに1時間が経過。

さきほどのパン屋のオバサンがご主人らしきオジサンへ、なにやらささやいている様子。

土谷は気にも留めないフリして、携帯とにらめっこ風です。

そうこうしているうちに、あちこちでシャッターが開く音が。

そうです。
Time Is Eight O'clock!
なのです。

パン屋のオジサンが隣りの金物屋のご主人に挨拶しています。そしてなにやらこちらへの2つの視線を感じます。

そして金物屋のご主人が隣りの薬屋のおじいちゃんに挨拶しています。そしてなにやらこちらへの2つの視線を感じます。

そして薬屋のおじいちゃんが隣りのクリーニング屋のご主人に挨拶しています。そしてなにやらこちらへの2つの視線を感じます。

そしてクリーニング屋のご主人が隣りの寿司屋のご主人に挨拶しています。そしてなにやらこちらへの2つの視線を感じます。

寿司屋のご主人から奥さんへと伝わり、奥さんがとなりの弁当屋さんへ…。

あっという間に不審者土谷を知る人が、インフルエンザウイルス並に増殖していく。
しかもこの伝言ゲーム、途中で話が大きくなっているはず。間違いない。
おそらく幼女誘拐犯にでもなっているのではないでしょうか。
こっちのターゲットは似ても似つかぬ50過ぎのオッサンなのに・・・。

みんな揃いも揃って、店の前を掃き掃除しています。
そんな中、
寿司屋の向かいのコンビニの若いにーちゃんは無関心。

  素敵っ! 素敵よ! にーちゃん。

ふらふらと裏路地を一周し、みんなの視線攻撃から逃げつつ、別のメンバーと場所交代を行います。
さらに上着を一枚脱ぎ捨て、土谷はコンビニ前に移動。

ふぅー。
なかなか手強いぜ、下町ブラザーズ。

それにしても暑い。
やはり「猛暑」とは暑さが猛り狂っていることをいうのだなぁ、とぼんやり考えながらも、マンションの入り口からは目を離しません。

そうこうしているうちに、ゴミ収集車がゴミ回収に来ました。
また猛烈な臭いが土谷の嗅覚を刺激します。
早く持っていって・・・。

そして時間は
Time Is Nine O'clock!
となりました。

マンションの管理人夫妻が現れ、水を巻きはじめます。

  そうだよねー。
日本の夏だよねー。

っていうかまたまた強敵参入じゃん!

マンションの出入り口にしっかと陣取り、掃除&水巻に余念がない管理人夫妻。

早く出てきてくれないかなぁー。ターゲットちゃん。しかしこういうときに限って、たいてい動きはないんですよね~(泣)

人の目を避け、猛暑の中張り込むこと5時間・・・。

残ったものは…
強烈な日焼けの跡と、空のペットボトル。

  あと、疲労。

こんな日もあるさ、こんな日もあるさ・・・。

こうして下町ブラザーズとの戦いは幕を閉じたのでした。

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